防火対象物点検とは
防火対象物定期点検は、消防法第8条の2の2第1項の規定に基づく点検です。 火災予防上必要な事項等について防火対象物点検資格者に1年に1回点検させ、その点検結果を「防火対象物点検結果報告書」により消防長に報告しなければなりません。 また、防火対象物の点検の結果は、防火管理維持台帳に記録し、他の関係書類とともに保存しなければなりません。
(消防法施行規則第4条の2の4)
対象となる物件
共同住宅:
- アパート・マンション: 共用部分の消防設備だけでなく、各戸の設備も点検し火災時の適切な行動計画も含まれます。
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商業施設
- 遊戯施設・ショッピングモール: 避難経路の指示表示と非常通報システム、消火器の設置場所などについて顧客の安全確保が重視されます。
- レストランやカフェ・飲食店: 料理設備の点検と、消防法に基づく特有の要件を満たしているかが検証されます。
宿泊施設:
- ホテル・旅館: 火災報知機や消火設備の点検以外に、宿泊客の避難訓練も重要視。避難経路の明示性を確認します。
- 客室の火災予防対策から、消火設備の適正な設置まで、幅広く点検されます。
公共施設:
- 学校: 教室や体育館、図書館まで点検の対象。学生の安全な避難や非常用通信手段の確保がチェックされます。
- 図書館や公民館: 避難経路や非常口、避難計画が点検対象。地域の人々が安心して利用できる環境づくりが重要です。
医療施設:
- 非常口・避難経路から消火器の設置場所等、幅広く点検されます。
- 病室の火災予防対策から、消火設備の適正な設置まで点検されます。
防火対象物点検の点検事項
・防災管理者選任の届出および防災管理に係る消防計画作成の届出が提出されているか。
・消火・通報・避難訓練を実施しているか。 ・避難経路に避難の障害となる物が置かれていないか。
・防火戸や防火シャッターの閉鎖に障害となる物が置かれていないか。
・カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付けられているか。
・消防設備の維持管理と報告が適切におこなわれているか。 等の火災予防が適切されているかを確認する点検です。
(混同されがちな点検に消防設備保守点検がありますが、消防設備保守点検は消防設備の機器が正常に作動するかなどハード面での点検がメインです。)
防火管理者の役割 火災被害を最小限に留めるために
・「消防計画」を作成し、それに基づいて「消火・通報・避難訓練」を行う
・消防設備の維持、管理を行い、消防署への届け出等を行う
・火気使用に関する監督 ・避難、防火上必要な構造および設備の維持管理
・収容人員の管理
・その他防火上必要な業務 点検の頻度 防火対象物定期点検は年に1回実施しなければいけません。
また、点検した内容を報告書にまとめたうえで防火対象物の所在地を管轄する消防署に報告書を提出する。
・点検するのに必要な資格 防火対象物定期点検は「防火対象点検資格者」の有資格者が実施しなければいけません。
防火対象点検資格者は、登録講習機関(総理大臣が登録する法人)が行う講習を修了し、当該登録講習機関の発行した免状の交付を受けている者となっています。
防火対象物報告制度の罰則
「防火基準点検済証」「防火・防災基準点検済証」「防火優良認定証」「防火・防災優良認定証」を表示できる要件を満たしていないにも関わらず表示をした場合、または紛らわしい表示をした場合 ⇒30万円以下の罰金又は勾留(消防法第44条第3号) 防火対象物点検の報告をしない、または虚偽の報告をした場合 ⇒30万円以下の罰金又は勾留(消防法第44条第11号) 前述の1及び2についてはその行為者のほか、その法人に対して30万円以下の罰金刑(消防法第45条第3号)